鹿教組委員長より ~ゆとりある、温かい子育て・教育環境、労働環境の実現を!~

OHさんとオシロイバナ

鹿教組執行委員長 今村 悟

osiroi 今から18年前わたしは、ある町の小学校の5年担任をしていました。確か6月だったと思いますが、町内にあるキャンプ場付、温泉付、研修室付の公園に、1泊2日の宿泊学習に行きました。夕朝食と寝泊まりは、4班に分かれ、それぞれの班に割り当てられたバンガローごとに行いました。またそれぞれの班に引率者が1人ずつつきました。
 食事作りや牧場見学、グランドゴルフなどの予定の計画を終え、休養措置日の翌日、OHさんは腹痛で休みました。その日の夜、そのOHさんが母親に連れられて、車で30分ぐらいかかるわたしの家へやってきました。そして、母親が申し訳なさそうに言ったのは、「教頭先生は、今日は元気でしたか?」という質問でした。わたしが、「はい、元気でしたよ。」と答えると、母親は安心したように、訪問の理由を話し始めました。それによると、
 今日は、OHさんのことは近所に住む祖父母に頼んで、仕事に行って帰宅すると、ただの腹痛だけではなく、どうも様子がおかしいので、何かあったのかと何度も尋ねると、OHさんが語るには、宿泊学習の夕食のカレー作りを外でしていると、オシロイバナの実がなっていた。同じ班の子たちの間で、「オシロイバナの実の白い粉を食べると、お腹が痛くなるらしい。」という話になった。すると、OHさんはその話が本当か試しにやってみようと思って、自分たちの班担当の教頭先生のカレーにオシロイバナの実の白い粉を振りかけてみた。その夜も2日目も教頭先生は元気そうだった。しかし、昨日もそのことがOHさんの頭から離れず、今朝から白い粉をかけた自分の方がお腹が痛くなった。
ということで、もし教頭先生もお腹が痛くなっていたらと心配になったけど、教頭先生の家に直接伺う勇気がなかったので、まず今村先生の家に来てみたということでした。
 次に出勤した日に、教頭先生にいきさつを話し、体調を尋ねると、「どうもありません。」と笑っておられました。1学期末の教育相談の事例研修でこのことを報告すると、みなさん笑うばかりで、何もコメントはありませんでした。後で、「OHさんらしいですね。」という職員もいましたが。
 1年前に7年ぶりに学校現場に戻った組合員から、「先生たちが子どもに冷たくなった。子どもを温かく見守る姿勢が薄れている。」という感想を聞きました。7年前に比べてもそうですから、18年前に比べれば、指導要領改訂による授業時数増、教職員評価制度(現在は人事評価制度)の導入、全国学力・学習状況調査の実施などで、学校教育や学校職場はハードになり、競争主義が強まり、子どもたちも保護者もそれに巻き込まれているのではないでしょうか。保護者の労働環境もまた厳しいものになっているのではないでしょうか。
 ぜひ、ゆとりある、温かい子育て・教育環境、労働環境を実現していきましょう。
 なお、あの夜、よかれと思い、OHさん親子に冷たいゼリーを出し、食べたOHさんを我が家のトイレに駆け込ませたことは、連れ合いとともに今でも申し訳なく思っています。

2018年5月29日