鹿教組委員長あいさつ

2018夏

鹿教組執行委員長 今村 悟


 わたしは、27年間小学校に勤めておりました。その間、同僚、保護者、地域の方、子どもにはたくさんのことを学びました。その中から、子どもに学んだ一例を、紹介します。
 30年ぐらい前に、10数名の4年生担任をしていたときのことです。3月のお別れ遠足の日の朝の会で、「弁当は誰と一緒に食べるか決まっているか」と尋ねたとき、「4年生の男子グループ、女子グループで食べる」という答えに交ざって、「先生、孝史くん(仮称)は6年生と一緒に食べるんだって。」という声が聞こえてきました。
 その後、校区内の目的地へ向かって歩き始めると、孝史くんは早速6年生に交ざって歩いて行きました。目的地に着いて、いざ弁当の時間になると、孝史くんは6年生たちのいる方向から、1人うつむいて涙も流しながら歩いてきて、4年生たちのいる所から少し離れた所に、1人ぽつんと座りました。
 他の4年生たちは、それぞれのグループでシートを広げ、リュックから弁当をとり出したりしていましたが、女の子たちが男の子たちの所へやってきて、「あんたたちは何をしているの?孝史くんは1人で座っているがね。」と言い、男の子たちは、「だって、ぼくたちが呼びに行っても孝史くんは来ないんだもん。」と言い返して、・・・それで、みんな弁当を食べ始めようにも食べ始められない状況になってしまいました。
わたしも、状況を打開する言葉も行動も見つからないでいると、いつもはひょうひょうとして、マイペースの明広くん(仮称)が、「僕たちが孝史くんの所へ行けばいい。」と言いました。すぐに、「そうだ」という声や、「え~」と言う声が上がりましたが、4年生一同、広げたシートや、とり出した弁当、水筒、リュックを持って、孝史くんの周りへ移動して、やっと弁当を、孝史くんも一緒に食べ始めることができました。
 このとき、明広くんからは、理由はどうであれ、1人、多数に合わせられない状況でいるとき、その気持ちも考えずに多数に合わせろと言うばかりではなく、多数がその1人に寄り添う感覚と行動が必要だよと、教えてもらった気がします。

2018年9月17日